環境省が新たに決めようとしている水質基準値50ng/ℓは、米国基準値の検出下限値であるPFOS4ng/ ℓ・PFOA4ng/ℓやEU諸国と比べて桁違いの高い値となっています。
↓ 下記録画をご覧いただき 3月27日まで の「環境省パブコメ」で意見表明しましょう。
【資料】
令和6年度 第2回水質基準逐次改正検討会 2024年12月24日
【資料1-2】 https://www.env.go.jp/content/000276948.pdf
水道水におけるPFOS及びPFOAの取扱いの改正方針等について(案)【抜粋】

【ウ 目標値の検討】 水道水におけるPFOS及びPFOAの取扱いの改正方針等について(案)【抜粋】
令和2年度にPFOS及びPFOAの目標値について検討した際には、「国際的にもPFOSやPFOA の評価が大きく動いている時期でもあり、毒性学的に明確な目標値の設定は困難であるが、現時点における諸外国・機関が行った評価の中で妥当と考えられるものを参考に、我が国の水道水の目標値を暫定的に設定する。」との考え方に基づき、暫定目標値を設定したところ。
その後、令和6年6月には、内閣府食品安全委員会が、諸外国・機関が行った評価の中で使用された根拠資料を含めて評価した上で、PFAS(有機フッ素化合物)に係る食品健康影響評価書(以下、「評価書」という。)を取りまとめた。評価書においては PFOS、PFOA について、現時点の科学的知見に基づいて食品健康影響の指標値が検討され、それぞれTDIが示されたところである。
なお、TDI設定の考え方は以下のとおり。
・PFOS については、ラット2世代生殖・発生毒性試験(Luebker et al. 2005a)でみられた児動物における体重増加抑制を、PFOAについては、マウス生殖・発生毒性試験(Lau et al. 2006)でみられた胎児の前肢及び後肢の近位指節骨の骨化部位数の減少、雄の児動物の性成熟促進をそれぞれ採用した。また、血中濃度から摂取量への換算には、海外評価機関で採用された用量推計モデル等を確認の上、その計算結果を適用した。
・以上のことから、食品健康影響の指標値は、TDIとしてPFOSは20ng/kg体重/日(2×10-5 mg/kg 体重/日)、PFOAは20 ng/kg体重/日(2×10-5 mg/kg体重/日)と設定することが妥当と判断した。
また、評価書においては、「今後への課題」として、「まずは、今回設定したTDIを踏まえた対応が速やかに取られることが重要である。そのためには、PFASにばく露され得る媒体(飲料水、食品等)における濃度分布に関するデータの収集を早急に進め、その調査結果等をもとに、高い濃度が検出された媒体に対する対応を一層進めることが必要である」とされている。以上のように、評価書に基づき毒性学的に明確な目標値を設定することが可能となったこと、及びイのとおり分類見直しの要件を満たし、浄水処理における除去性等が認められることから、現行の水質管理目標設定項目を水質基準項目に見直すこととしてはどうか。また、その値については、評価書において、PFOS、PFOAそれぞれについて、TDIとして20ng/kg体重/日が示されていることを踏まえて、我が国の水道水の水質基準値等の設定で通常用いられている体重50kg、一日当たり摂取量2L、また、水道水の割当率については10%を用いて、以下の計算式から50ng/Lを基本としてはどうか。
TDI[ng/kg/day]×体重[kg]/一日当たり摂取量[L/day]×水道水の割当率[%]
=20×50/2×10%
=50[ng/L]
また、評価書において示されたTDIはPFOS、PFOAそれぞれの値であり、計算上は、それぞれで基準値を50ng/Lと設定することも考えられるが、現在の暫定目標値はPFOS及びPFOAの合算値としており、また、今回の基準値設定にあたり、評価書ではPFOS、PFOA ともに生殖発生への影響をエンドポイントとしていること、さらに、環境省において取りまとめている公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果において同時に環境中で検出されている例もあることから、同様にPFOS及びPFOAを合算して評価することとしてはどうか。また、その値としては、現在の暫定目標値の考え方と同様、安全側を見て合算値として50ng/Lを採用することとしてはどうか。
なお、評価書においては、「今後の課題」として、「PFOS 及び PFOA をはじめとする PFAS については、健康影響に関する情報が不足しており、不明な点が多い。(中略)エンドポイントとして今回の健康影響評価では取り上げなかったその他の健康影響については、評価に使用できる情報が現時点では不十分であり、今後の知見の集積により、新たに検討が必要となる可能性はあり得る。」とされている。
東京都・多摩地区 有機フッ素化合物の検出状況
東京都水道局HPによれば、蛇口の水は1桁か、5 ng/L未満です。
浄水所は、多くが停止中で河川水を使っていますが、地下水をくみ上げたばかりの原水は2桁か3桁のものもあり、浄水所の地下水の汚染は下がっていない。土壌汚染は長く続いていると考えられます。
東京都水道局Top → → 有機フッ素化合物(PFOA等)に関する情報 *時々リンクが変わります
関連情報 → 〇 有機フッ素化合物の検査結果 → <令和6年度(PDFデータ・Excelデータ)>
● ︓ 監視強化中の浄水施設(四半期毎の最高値を示します)
停⽌中︓ 浄水施設が停⽌しているため、主に東村山浄水場、小作浄水場の水が配水されています。
<5 ︓ 検査結果が定量下限値である5ng/L未満であることを表します。
立川市 浄水施設No.18富⼠⾒第三浄水所、2024年4月~6月原水11浄水 11、7月~9月原水10 浄水8 、10月~12月原水9 浄水10
立川市 浄水施設No.20⽴川栄町浄水所、2024年4月~6月原水29浄水 14、 7月~9月原水17 浄水16、 10月~12月原水23 浄水24
府中市 浄水施設No.32若松給水所(●)、2024年4月~6月原水43(●) 浄水13(●)、 7月~9月原水210(●) 浄水20(●) 、10月~12月原水48(●)浄水 13(●)
小平市 浄水施設No.43小川給水所(●)、2024年4月~6月原水74(●)浄水 5(●)、 7月~9月原水74(●)浄水<5(●)
日野市 浄水施設No.44多摩平給水所、2024年4月~6月原水16浄水 9、 7月~9月原水18 浄水9、10月~12月原水 9浄水<5
国分寺市 浄水施設No.49国分寺北町給水所、2024年4月~6月原水190 浄水8 、7月~9月原水160浄水8、10月~12月停止中
国立市 浄水施設No.50国⽴中給水所、2024年4月~6月原水11浄水<5 、7月~9月原水14浄水<5、 10月~12月原水11浄水<5
西東京市 浄水施設No.53保谷町給水所(●)、2024年4月~6月原水13(●) 浄水5(●)、7月~9月原水 9(●)浄水<5(●)、 10月~12月原水11(●)浄水 5(●)
福生市 浄水施設No.55福生武蔵野台給水所、2024年4月~6月原水9浄水<5、7月~9月原水10浄水<5、10月~12月原水8浄水<5
東久留米市 浄水施設No.58南沢給水所、2024年4月~6月原水28浄水<5、7月~9月停止中、10月~12月停止中
【パブコメに向けて】
引き続き、血液検査に取り組み、血中濃度から体内汚染が続いていることを明らかにしましょう。
地下水汚染が、浄水所の井戸でも、専用井戸・飲用井戸でも続いている。地下水の除染をはかることが必要だが、土壌汚染の調査が必要となる。
水質基準50ナノグラム/リットルのパブコメに向けて、多摩の住民の実感(2020年までの深刻な水道水汚染、血中濃度が高い、健康不安を抱えている人も少なくない、地下水の汚染は続いている、飲用井戸からの摂取、作物からの摂取のリスクがある)から、小泉昭夫先生の講演パワーポイントに学んで、ハガキに自分の言葉で一言書きましょう。
(パブコメのハガキ付きチラシ・下記参照)

【小泉昭夫先生の講演資料から】
1.環境省が水質基準を50ナノグラム/リットルに「基準値」採用予定。パブコメが近く始まる。
2.昨年6月、食品安全委員会はリスク評価書で、米国の2016年の基準(日本の水道水の暫定目標値50ng/Lの根拠となったもの)に準拠した許容量(耐容一日摂取量(TDI))を決定。
3.世界の健康影響のリスク評価は最新の科学的知見を採用し、規制強化している。食品安全委員会の「評価書PFAS」の体重1kgあたり一日当たりの基準(耐容一日摂取量(TDI))20ngはあまりにも高い。
4.環境省エコチル調査・信州大学の野見山・長谷川論文は、重大な健康影響である染色体異常を発見した。この論文を根拠に、血中濃度の無作用量から耐容一日摂取量(TDI)を求めるべきだ。
昨年6月の環境省の「水道水におけるPFOS及びPFOAの取扱いの改正方針等について(案)」の「 目標値の検討」では、2019年の暫定値体重1kgあたり一日当たり基準(耐容一日摂取量(TDI))20ngを追認した。環境省はこの論文を「隠ぺい」したのか? 科学的及び道義的な逸脱だ。
5.環境省エコチル調査・信州大学の野見山・長谷川論文の耐容一日摂取量(TDI)の値から水質基準を導き出すと、体重1kgあたり一日当たり基準0.1ngとなり、水道水の基準は0.25ng/Lとなる。
環境省の水質基準50ナノグラム/リットルは、0.25ng/Lの200倍も高く、国民の命と健康を危険にさらすものだ。
6.エコチル調査データは評価書に反映できたはず。エコチルのデータを反映して米国並みに規制することは大変合理性がある。
7.PFAS汚染にどう立ち向かうか。非科学的であるとともに非道義的な案にパブコメを大々的に送りましょう。